結城浩さん

あなたはひとりではありません
あなたはひとりではありません。

徹夜あけでふらふらになりながらデバッグしていると、とんでもなく情けない気持ちになります。残っている仕事量を納期までの日数で割り算して、目の前がくらくらします。完成直前にとんでもない事態が持ち上がって、大量のやり直しが発生します。

けれども、あなたはひとりではありません。

いま情けない気持ちでキーボードをたたいている自分。納期までをどうやりくりしようかと考える自分。やり直しをするのはやっぱり自分か…と思う自分。

けれども、あなたはひとりではありません。

確かに、目の前には自分しかいない、この仕事は自分がやらなきゃだめだ、他に誰がやってくれるというのだ、と思う。そしてそれはそうなのでしょう。

けれども、けれども、あなたはひとりぼっちではありません。

いま、世界のどこかで、あなたと同じ思いを抱いている人が必ずいます。髪の色も違い、職業も違い、言葉も違い、あなたと一度も会ったことがなく、これからも会うことがないかもしれないけれど… あなたと同じように、自分の目の前の問題に途方にくれつつも、何とかしようと考えている人がいるんです。

そして、まわりをよくみると、自分のまわりをよくみると、あなたのすぐそばに、あなたが、いま、あなたの言葉を伝える相手が見つかりはしないでしょうか。仕事の状況を報告する上司か、困った事態だと訴える同僚か、自分の弱さと心の痛みをうちあける恋人か、伴侶か、今日はこんな私です、と話す友人か…

決して、あなたはひとりぼっちではありません。

あなたは、これまでいろんな時を過ごして、現在ここにいます。きっと今の困難も(どんな形でかはわかりませんが)解決することでしょう。そして、今よりも少し楽になったとき、もう一度あなたのまわりをよくみてください。

あなたのまわりに、あなたが耳を傾けるべき相手はいませんか?「わたしはひとりぼっちだ」と思い込んでいる誰かはいませんか?ぜひ、その方の話を聞いてあげてください。じっくりと、最後まで。